2012年9月2日日曜日

AGP 第10号


AGP日本語通信 第10号 (2012年9月号)


<インド文化講座・3>
インドの住居
スマ・アガラ

 このビルをどこかで見たことがありますか。この大豪邸はの会リライアンス・インダストリーズの会長であるムケシュアンバニの家です。27階のこのビルは4万平方フィートの住居スペース、168台を収容することができる巨大パーキング、その上にあるロビーには、9台のエレベーターがあり、建築費は約840億円です。
 インドは貧富の差が大きいので、世界で一番の豪邸からとても貧しい人々が暮らす小屋まで、いろいろ見られます。


大都市・町・村のさまざまな住居

大都市
 皆さんが毎日見ている大都市の住居は、町と村とではだいぶ違います。
 大都市には以下のような住居が見られます。

ゲーティッド・コミュニティー:
 安全を確保して周囲をゲートとフェンスで囲った普通より広い一戸建ての住宅地のことです。デヴェラパー会社は私道、電気、上水道、下水道完備、公園、スポーツクラブなどのような施設を作り、土地を個人に売ることもあれば、一戸建てを売ることもあります。ゲーテッド・コミュニティーでは、ほとんどの家が4LDK・5LDKで3000平方フィートぐらいの広さです。このような住宅地を作るためにとても広い土地が必要なので、町の中心から外れたところにできています。
 ゲーティッド・コミュニティーはムンバイ、チェンナイやデリーにはあまりありませんが、バンガロール、ハイデラバードやカルカッタにはたくさんできています。
 バンガロールでは、アウターリングロード、国際空港のあたりやサッジャプラロードにたくさんのゲーティッド・コミュニティーができています。
 バンガロールでいちばん初めにできたゲーティッド・コミュニティーはホワイトフィールドにあるパームメドスで、今もいちばん高級なゲーティッド・コミュニティーとなっています。

マンション:
 大都市の人口増加に伴って集合住宅の数も増えました。マンションにはプール・スポーツクラブなどの施設があります。2LDK・3LDKのマンションが普通で、1500平方フィートぐらいの広さです。町の中心からはずれたところに限らず、中心地にもできています。
 高層マンションの数はムンバイがいちばん多いし、値段もいちばん高いです。次はニューデリ、バンガロール、チェンナイとなっています。
 バンガロールでいちばん高いマンションはどれでしょうか。
「Residences at UB city」は 平方フィートあたり33,000ルピーで、バンガロールの一番高いマンションです。ブリゲード、サラルプリア、ショバー、マンティリ、DLF,L&T, ラヘジャ、プレスティージュなどがインドの有名なビルドルになっています。

一戸建て:
 ひと昔前には、バンガロールや他の大都市にも一戸建てが多かったですが、最近は階数を増やして借家にするようになっています。
 新しい一戸建てを建てるために土地が個人や政府から買えるようになっています。どの町でも、土地の値段は場所によってだいぶ違います。
 バンガロールは政治家や映画俳優が暮らすクマーラパルクやサダーシワナガルは1平方フィートあたり15,000ルピーで、バンガロールのもっとも高い住宅地となっています。
 バンガロールで土地値段は1990年代から最近まで急騰(きゅうとう)して来ましたが、不況のときはあまり伸びていません。

アパート:
 かつては一戸建てしかできないような土地の広さに、10戸ほど入るアパートを建てるのは普通です。スポーツクラブなどのような施設はほとんどありません。

長屋型式共同住宅:
 5戸ほどが連続していて、トイレや水道が共同、屋根にファイバーガラスを使用している借家です。給水は朝数時間だけなので、翌朝まで必要な水をためておかなければなりません。
 個人宅の使用人やオートの運転手などが、このような家を借りているのが普通です。月家賃は2000ルピーぐらいになります。

スラム:
 インドので約5%の人口はスラムに住んでいます。スラムはムンバイがもっとも多くて、バンガロールはもっとも番少ないです。電気や水道があるのは普通ですが、トイレがほとんどないのでとても非衛生的な状態です。

町
 マイソールのような町では、ゲーテッドコミュニティーやマンションのような集合住宅はとても少ないです。600平方フィートから8,000平方フィートまでいろいろな広さの土地を個人や政府から買うことができるので、中間層や富裕層は自分の財産に合う土地を買って家を建てるのが普通です。
中下層の人々はアパートや長屋型式共同住宅を借りて住みます。貧困層はスラムに住みます。

村
 インドは約65%の人口は農家です。農村では、大半の農家は先祖伝来の土地にモルタルやわら、タイルで自分で家を建てます。だいたい自然界にあるものを使って家を建てるので、あまりお金はかかりません。
 

家を購入する
 私の両親の世代は、だいたい四十代で家を買っていましたが、最近はITブームで、いろいろな企業に働いている人々の給料もだんだん伸びているし、銀行から簡単にローンを組むこともできるので、三十代のはじめごろに家を購入する人が多いです。
 普通のサラリーマンは年収の6倍のローンを組むことができ、利息は10.5%となっています。
 一戸建てやマンションやアパートを購入する場合は、土地開発業者や建築会社にお金を払ったあと、市登録事務所で家を自分の名前にしてもらいます。
 また、町や大都市に家を建てる場合は、まず建築業者に設計してもらってから、市役所から許可を得る必要があります。 敷地面積に対する建築面積の割合は土地の広さによって違います。設計が規制に合っていない場合は許可がもらえません。
 許可をもらった後、建築業者が労働者を雇って家を建ててもらいます。3000平方フィートの家を建てるにはだいたい一年ぐらいかかります。

ワーストゥ(風水)
 インドの風水はワーストゥと呼ばれています。ワーストゥシャーストラには昔のヒンズー教の建物に関する決まりごとが書かれています。
 どの建物でも、自然界にある太陽エネルギー、月のエネルギー、風カ、地球の磁力、火から発生する熱エネルギーを調和させることで、健康的でポジティブで活力のある生活を過ごすことができるとインド人は昔から信じています。
 ワーストゥシャーストラによると、家の玄関は東や北、主人の寝室は家の南西角、台所は東南角、お祈りの部屋は北東角や北や東にあるとよいと言われています。
 ワーストゥシャーストラに合った家は家賃も少し高いし売りやすいので、あまり信じていない人もだいたいワーストゥに合った家を建てるようにしています。

土地や家は大きな財産
 土地や家は、遺産なら配偶者と子供に均等に分割されますが、自分で獲得したものは遺書によって指定した人に譲ることができます。
 町や大都市では土地の値段がだんだん上がっているので、いい投資だし、子供にとっていい財産にもなるので、人々はよく土地や家を購入しています。

結論
 結論として言いたいのは、インドには豪邸に住んでいる人もいれば、小さな小屋に住んでいる人もいます。皆、自分はインド人という考えを持っているのがインドの特徴ではないかと思います。


木、それとも植木鉢(うえきばち)?
                                                  ギータ・ラグラム

 みなさん、ちょっと想像(そうぞう)してみてください。祖先(そせん)からもらった家や土地、たからくじであたったー億円(いちおくえん)、お金もちのご主人、日本製(せい)の車、レストランでの食事、高い服(ふく)、うわあ! しあわせですね! でも、ちょっとまってください。しあわせというのはぜいたくに人生をおくることですか? 車と家をすこしどかして考えてみませんか?
 わたしのゆめは、教師(きょうし)になることでした。しかし、いなかの出身(しゅっしん)なので、学生のとき18歳(さい)で結婚(けっこん)しました。結婚後は、主人からもらったお金をつかって、気楽(きらく)にのんびりくらしていました。
 勉強に対(たい)する興味(きょうみ)も少しずつなくなってきていたので、その年の試験(しけん)にも失敗(しっぱい)してしまいました。でも、いつも「追試(ついし)は、わたしのような人のためにあるのよ!!」と言って、気にしないでわらっていました。
 みなさんおわかりですね。そうです。人生について、ぜんぜん真剣(しんけん)に考えていませんでした。人生はバラ色でした。
 しかしみなさん、バラにもとげがありますね。
 主人が出張中(しゅっちょうちゅう)だったときの話です。
 ある日、わたしの胃(い)をはげしい痛(いた)みがおそったのです。病院にいったら、先生も看護士(かんごし)さんも、みんな英語でペラペラ話しているの聞いて、「英語! ぜんぜんわからない。痛みはだいじょうぶだけど、英語にがまんできない!!」とこわくなってしまいました。
 そんなわたしを見て、先生はわたしに言いました。
 「ギータさん、いま何をしているの?」
 「結婚したので、勉強をやめてしまったんです。」
 「ええ。そうなの。わたしもギータさんのようにはやく結婚して、すぐ妊娠(にんしん)もしたの。ある日、妊娠中に家族をつれて旅行していたとき、じつは、のっていたバスが事故(じこ)にあって、主人が死(し)んでしまったの。それで、わたしは主人の家からおいだされてしまいました。ほんとうにつらかった。でもね、自信(じしん)をなくさずに、勉強をつづけて、医者になったの。」
 わたしはびっくりしました。先生は話しつづけました。
 「人生はたくさんねじれているものです。だから、女性(じょせい)はいつも、花の植木鉢じゃなくて、木のようにつよくなって、ほかの人もまもれるようになったほうがいいんじゃないかしら。」
 まえは、わたしは主人からそだててもらった植木鉢だったと気づきました。先生のお話をきっかけに、わたしのあたらしい人生がはじまりました。大学を卒業(そつぎょう)して、にがてだった英語の修士(しゅうし)をとって、ゆめだった教師になりました。それに、日本語の勉強もはじめました。いま、木のようになろうとがんばっています。
 しあわせというのは、ぜいたくや財産(ざいさん)ではなく、だれにもたよらないで、自分で小さいことでも達成(たっせい)することではないでしょうか。


 今年も弁論大会(べんろんたいかい)の季節がやってきました。これは2011年にデリーの全インド弁論大会ジュニアの部で優勝したギータさんのスピーチです。これからスピーチする人は参考にしてください。バンガロール地区日本語弁論大会は11月3日(土)です。


 8月26日(日)、KOYO Meetupに日印学生会議やインターンシップの日本人学生たちが参加して、ディベートやジェスチャーゲームなどにぎやかに催しが行なわれました。そのときの写真コンテストで1位と2位だった写真を紹介します。





キショールさん撮影

中村さん撮影













MA Japanese Course. Centre for Global Languages, Bangalore University.
P.K. Block, Palace Road, Bangalore - 560009, India

2012年8月1日水曜日

AGP 第9号

AGP日本語通信 第9号 (2012年8月号)


<インド文化講座・2>

インド家族と結婚事情
アラティ・ゴパラクリシュナ

ジョイントファミリーとは
 皆様もご存知の通り、インドでよく見られる家族の形態はジョイントファミリーと呼ばれます。では、ジョイントファミリーとは何でしょうか。
 インドでは、昔から男子は結婚後も実家にとどまり、妻と子供も含めて同じ家で暮らします。いっしょに食事をし、仕事をし、お祈りしたりするだけではなく、社会や経済的なことにもお互いに協力し活動します。昔からこのような大家族で生活してきました。
 このような伝統的な家族の形態は、今はどうなっているのでしょうか。インドの67%の農民たちは今も同じような生活をしています。
 それに、インドの大金持ちで、大企業を経営しているタタ、ビルラなどの人たちも大家族で生活をしつつ、経済的な面でお互いに援助や協力をしています。

  
 しかし、都会に住んでいる中流階級の人たちでは、すこしずつ家族の形態が変わってきています。多くの世代の人々が一緒に住むのが理想的ですが、会社や学校に遠くなる可能性もあり、大きな家を建てるのも難しいので、核家族になることもよくあります。日本と同じような核家族、つまり、両親と未婚の子供で家族が形成されているケースも少なくないです。けれども、親類のネットワークはいまだにとても強く、親戚(しんせき)や家族を第一に考えることが何よりも重要と言う価値観の中で、経済的にも助け合って生活しています。たとえば、私の場合、親が転勤で他の町に住んでいたので、兄とともに伯母の家で育てられました。
 何か重要なことを決めるとき、たとえば、子供をどんな学校に行かせるか、どんな勉強をさせたいか、どこで家を作ったらいいか、などのことを決めるときも、よく親族たちと話し合って決めるのが普通となっています。それで、結婚相手を決めるときも、同じようにお互いの親族の人に頼るのが普通です。みんなで話し合って相手を決めるこんな習慣が、お見合い結婚です。

結婚事情
 インドで今も大半となっている結婚方法、お見合い結婚を紹介したいと思います。適齢期(てきれいき)になると、親や親族が結婚相手を探し始めます。適齢といっても、都会では女性は20歳~25歳ぐらいで、男性は25歳~30歳ぐらいとなっています。
 結婚相手を探すためには、結婚する人の写真、履歴書と星座のチャートを作り、エンジニアがいいとか、外国で働いている人がいいなどの結婚条件を決め、以下の方法で結婚相手を探します。
 まず初めに、親類たちや知り合いの中で誰かその条件に合う人がいるか確認します。それから、お寺や知り合いの人に相手を探すように頼みます。もう一つの方法は仲人(なこうど)会社です。以前は、その家族を良く知る、顔が広い年上の女の人が仲人をやっていましたが、今は仲人会社が作られているので、履歴書を作成して、結婚条件も説明して頼むのが普通になっています。
 仲人会社の人たちは、多くの人の履歴書を持っていて、条件の合っているいくつかの人たちの履歴書や写真、星座のチャートを見せてくれます。家の人は星座のチャートがマッチし、自分の条件にあった人に連絡し、家族と一緒に会って、結婚する人だけではなく、家族みんなで相談して結婚相手を決めます。
 新聞で広告を出すことやインターネットの結婚サイトで相手を探すこともよくします。
 星座は、子供が生まれてた時の天体と星座の位置によって書かれます。これを見て専門家が人の未来を予想することができると信じられています。何かの行事、たとえば、家に入るセレモニーや結婚式をやるとき、そのチャートを見て日を決めるのが習慣です。結婚を決めるときも、男女二人のチャートを比較し、合っている場合だけ結婚することになっています。
 お嫁(よめ)さんは花婿(はなむこ)の家族といっしょに住むことになる場合が多いので、家族に合うお嫁さんを探すことが必要です。結婚後、お嫁さんは夫の家族と一緒に住んでいても、自分の家族や親族との結びつきも続けていきます。それに、何か行事がある場合は、お嫁さんの親類たちが呼ばれるのも珍しくありません。
 そんな関係になっているので、インドで結婚は男女の結びつきだけではなく、二つの家族の結びつきだと思われています。
 恋愛結婚は、他の国と同じように男女二人が愛しあって結婚することです。でも、インドでは自分の息子や娘に結婚相手を探すことと決めることを自分の責任と権利だと考えている親たちが多くて、恋愛結婚をした場合は親がその権利をなくしたように考えるので、あまり恋愛結婚を認めません。それでも恋愛結婚を希望する場合、それぞれの親や親類たちに事情を伝えて、両親に認めてもらうことになります。両親に認めてもらえなかった場合、意見を変えて両親の決めた人に結婚する人もいます。
 両親に認めてもらえなくても結婚したいと思った場合は、法律上では、大人になっている人は自分で結婚相手を決める権利を持っているので、裁判で結婚することもできます。

Dowryについて(女子の赤ちゃんが少ない現状)
 持参金(ダウリー)とは結婚の時に花嫁の家族が花婿の家族にあげるお金や財産のことです。もともとこの習慣は、一部の州やカーストで、自分の娘が経済的に困ったときに使えるように、親がお金を出してくれたことから始まりました。その後、持参金を要求する家族が増えてきて、問題となりました。1961年に法律上に禁止されるようになりましたが、今も大きな社会問題の一つとなっています。持参金をもらえないため妻を殺す人もいれば、もう一回結婚する人もいます。
 こんな持参金を払うのは難しいので、妊娠(にんしん)しているときに性別を確認し、女の子の場合は生む前に子供を殺してしまう人達もいるので、男女比率が悪くなり、2011年の調査によると、1000人の男子に対して940人の女子という割合となっています。

離婚
 まず、ヒンドぅー教では結婚式を行った時点で結婚が成立しますので、法律上の登録はしないケースもあります。インドの離婚率は他の国と比べてとても少なく、1%ぐらいと言われています。その主な理由は、経済的な問題、離婚の制度についての無知などです。
 昔からインドでは、貞淑(ていしゅく)は女性の美徳(びとく)だと思われているので、離婚した女性にたいする社会のあつかいもあまりよくないです。都会ではあまり感じられませんが、村では住みにくくなる場合もよくあります。


日本とインドの絆(きずな)
センティル・ムルガン

 言葉が存在しなかったときに、人間と人間のあいだの関係や絆などはどうだったでしょうか。そして、絆ってどう意味だろう。友情、知りたいことを教えてもらうことや、したいことを手伝ってもらうなどのことではないか。私の考えでは、人としても国にとしても、やはり優しい気持ちをもつことだと思います。特に、完全に違う言葉や文化をもつ二つの国の間にある絆は、本当に素晴らしいものでしょうね。
 なぜこの国の間の絆がそんなに必要なのかを深く考えると、もちろん皆様がご存知のように世界はどんどん小さくなってきているし、海外旅行も非常に盛んになって、人びとが世界のいろいろなところから旅行で別の国に行くことが増えてきましたね。そして海外貿易もすごく大きくなってきて、そのために海外出張に行く方も多いです。こんな状況だと、行った国でただ仕事だけして帰国する方は少ないかもしれません。なぜかというと、人生では、生きているうちにいろんなことを試してみたり、知らない国を探検することも必要だと思います。国際化の結果、最近貿易はさかんになって、その上、それぞれの国の経済が貿易している相手の国の経済に頼ることになるのは当然ですね。

 インドのバンガロールでは、今インドのいろんな所から仕事のために引越してきています。さらに、ただインド人だけではなく、多くの外国人も来て生活しています。特に、日本人です。トヨタなどの日本の自動車会社がこちらにできていることは、あるいはバンガロールのよい気候の結果かもしれません。こういった日本人とこちらにいるインド人が、いろいろことでいっしょに活動しています。それぞれの国の文化を交換するために、いくつかのイベントやプログラムがあります。この文では、日本とインドの絆を、バンガロールで行われていることをもとにして書きたいと思っています。
 「ハッバ」はカンナダ語で祭りと言う意味ですから、「ジャパンハッバ」というと日本祭りという意味です。7年前には、今みたいにこちらにいる日本人とインド人を繋げるためのもよおしがなにもありませんでした。それで、バンガロール大学で学生に日本語を教えていらっしゃった秦先生という方が、そのためになにかをしようと思って、ジャパンハッバを始めたそうです。ジャパンハッバの目的としては、ただ日本とインドの文化の交流をしてもらうことです。たとえば、日本人がインドの伝統的な歌を歌ったり、インド人が日本の伝統的な東京音頭などの歌で踊ったりしていました。少なくとも三百人くらいのお客様が来ていたそうです。こうして始まったジャパンハッバは非常に有名なイベントになり、最近バンガロールというとジャパンハッバ、というほどに有名になってきています。秦先生は、それぞれの国の代表的なものを加え、ジャパンハッバはもっとおもしろくなってきました。毎年来てくださっているお客さんも、日本のことを見て、「へえ、日本は素晴らしい国だな、どうしても一度行ってみたい」と感じます。その結果、そう思った人々は何回も日本に行くことになって、インドと日本のあいだの友情はもっともっと強くなってきています。そして、ある日本人は国に休みに帰ったとき、日本の家族にインドのことを話して、それを聞いて驚いた家族もインドを訪問しはじめて、インドの観光はさかんになったそうです。

 コミュニケーションとして言葉は必要ですね。それで、日本に行きたいとか日本語を勉強したいと思っている学生たちのために、インドではたくさんの大学や私学で日本語を教えています。ただ日本語を教えるだけではなく、学生たちに日本の大学に留学に行くためにいろいろな準備もしてくれているそうです。日本では今若い人たちが少なくなってきているので、日本の政府も留学生のためにいくつかの奨学金を用意しています。その結果、最近日本に行っている留学生の人数は非常に多いです。国のあいだの友情を広げるために、留学生も大事です。
 同じように、日本からもたくさんの若い学生たちがインドに英語を勉強しに来ることが、インドのことを日本に伝えるいちばんいい手段になります。

 結論を言えば、日本とインドの絆は、それぞれの国の文化とか言葉とか貿易などに違いがあることの結果でしょう。違いが絆を生むのです。


今月の短歌
サクラ日本語リソースセンターの初級の生徒ラヴィクマルさん(40時間学習)はバンガロールについて1分で(!)こう書きました。
「バンガロールはきれいなまちです」
「バンガロールのてんきはすずしいです」
「きょうはあめではありません」
「バンガロールはかいしゃがたくさんあります」
「バンガロールはこうえんのまちです」

つまり、

 すずしくて きれいで かいしゃが いっぱいの こうえんのまち
  バンガロールは

ということですね。



MA Japanese Course. Centre for Global Languages, Bangalore University.
P.K. Block, Palace Road, Bangalore - 560009, India

2012年6月30日土曜日

AGP 第8号


AGP日本語通信 第8号 (2012年7月号)


<日本語によるインド文化講座>

インドの社会
スシーラ・メノン

 インドはどんな国でしょうか。インドの社会はどんな人々から成り立っているのでしょうか。まずインドの人口から始めたいと思います。
 皆様ごぞんじのようにインドの人口は12億人を超えていて、世界第2位となっています。第1位は中国ですが、中国はさまざまな対策で人口増加を減らしているので、インドは2026年に中国を抜き、世界一人口の多い国になるといわれています。また面積で言うと、この図からわかるように、中国はインドの約3倍と広いので、インドでは人口密度が高くなります。現在でも、世界の人口密度の多い町として、ムンバイが1位、カルカッタが2位となっています。


 それでは年齢構成はどうなっているのでしょうか。このピラミッドをご覧ください。若い人の数が多くて年寄りの数が少ないですね。ということはインドはまだ若い国です。


 日本の年齢別人口と比べたら、こうなります。それで、日本の社会問題のうち、少子化や高齢化などはインド社会にはありません。逆にインド社会の問題は人口が多いこと、つまり人口爆発なのです。


 若い人が多いということは働く人が多く、国の経済的な発展となるので、そのままでいいと考える人もいるんですが、でも人口爆発は食料不足、住宅不足、用水不足、雇用不足というようにいろんな不足をもたらしますね。インドの人口を減らすために、前首相のインディラ・ガンディーは国民に「子供ができなくなるための手術」を施(ほどこ)すことを強制するといった対策を考えました。しかし、それは人々の猛反対を受け、そのためにインディラ・ガンディーは選挙に惨敗してしまいました。その後はこれといった対策もなく、現在も人口増加がインド社会の大きな問題と残っています。

異質社会
 インド社会の特徴は、異質であることです。というのは、さまざまな人種が、さまざまな言語を話し、さまざまな宗教を信じています。とても多種多様ですが、調和があります。インドは「多様性のなかの調和:Unity in diversity」といわれています。

インドの宗教 
 インドには世界の宗教すべてが存在しているといわれています。インドのもともとの宗教はヒンドゥー教ですが、仏教とジャイナ教が生まれたのもインドです。それ以外の主な宗教として、シーク教、イスラム教、キリスト教などがあります。インド人はたいていだれでもどれか一つの宗教に属しています。
 1947年にインドが独立した後、ムスリムの要求で国が宗教の基に分けられ、ムスリムのためにパキスタンがイスラム国家として独立しました。一方でインドは、ヒンドゥー教徒が多数を占(し)めるものの、どの宗教でも存在できるような国となりました。イスラム教徒はコーランを経典(きょうてん)とし、ヒンドゥー教徒とは考え方が異なるので、インドの法律では、イスラム教徒に対して特別な民法までできています。たとえばイスラム教徒なら3人の妻を持ってもいいなどのことです。
 それでは、インドの首相(マンモハン・シン)はどの宗教に属しているか御存知ですか。現在インド人の80%はヒンドゥー教徒ですが、彼はヒンドゥー教徒ではなくシーク教徒です。しかも、その首相はキリスト教のソニア・ガンディーによって任命されました。さらに、そのときの大統領はイスラム教徒でした。こちらの写真はそのときの様子です。インドにおける「宗教の調和」を示すシーンの一つといえるでしょう。

インドの言語
 インドには1000を超える言語があると言われています。その中でも1万人以上の使用者がいる言語は124語で、現在の公用語は24です。インドの紙幣をみても15の言語で書かれていますね。インド言語は大きく二つに分かれ、北インドはインド・ヨーロッパ語族、南インドはドラヴィダ語族に属します。南インドの言語にはインド・ヨーロッパ語族のサンスクリット語の単語が多用されています。
 これは、言語ごとに色分けされた地図です。

 緑色のヒンディー語がいちばん多く話されているんですね。それでヒンディー語が国語と認められています。でも、国語のヒンディー語が通じない州がたくさんありますので、主な書類や裁判所や州と州の間の通信などには外国語の英語がよく使われています。インドのテレビ番組をみても、いろんな言語の番組があるから、ものすごい数(500ぐらい)になっています。
 それではそんなにたくさん、違った言語を話している人々の国での議会はどういう風に行われていると思いますか?
 実は議会はヒンディー語や英語で行われていますが、それが自動的に、同時通訳されています。議員はイアホンで15の言語のうち好きな言語を選ぶことができます。
 インドには多くの言語が存在するため、全国民に通じる言語はありません。そこで、外国語の英語が共通語となってしまいました。
 現在、インドで1億2千万人が英語を話すことができ、それは総人口の11%です。世界における英語話者数はアメリカに続いて第2位で、イギリスよりも多くの人が英語を話していることになります。
 また、高等教育は必ず英語で行われているし、都会の小学校もほとんど英語で教育を行っています。また、恋愛結婚で別々の母語の人が結婚した場合、家庭でも英語を共通語として使用するケースも増えています。そこで、各州は自分の母語を守るためにいろんな動きをしています。カルナータカ州でも、店の看板やバスの行き先などはカンナダ語表記が必須(ひっす)となっていますし、公用語はカンナダ語で、政府からの通信などにはカンナダ語しか使わないなど、それぞれの言語が失われないような努力を行っています。日本のように全国で一つの言葉を話している社会と比べたら、とても複雑ですね。

インドのカースト制度
 外国人が興味をもつインド社会の特色がカースト制度でしょう。インドの複雑なカースト制度をちょっとのぞいでみましょう。カーストはもともとはヒンドゥー教での職業をもとにした身分制度です。
 ヒンドゥー教のカースト制度にはバラモン・クシャトリア・ヴァイシャ・シュードラの4つの身分がありました。バラモンは僧侶や教師であり、クシャトリアは王さまや武士で、ヴァイシャは商人や地主で、シュードラは一般の農民などというように職業のベースで分けられていました。また汚い仕事をする人たちはそのカースト制度のそとにおかれて、アウト・カーストやダリットと呼ばれていました。上の三つのカーストが上層とされ、シュードラが下層、またダリットですが、とても低くみられていて、その人たちは、触ってはならない、つまりUntouchableな身分とされていました。今はヒンドゥー教だけに限られていなくて、インドのどの宗教にも上層や下層があって、多数のカーストやサブ・カーストができています。

現在の状態
 独立後のインドの憲法(けんぽう)でカースト差別は禁止されました。しかし、突然みんな平等だといわれても、長い間不公平な扱いをされ、教育を受けることのできなかった下層の人たちは、以前からよい教育をうけ、恵まれている上層の人と競争できないはずですし、いつまでも下僧に残ることになります。そこで、政府はさまざまな対策を考えました。その一つは下層階級優遇政策です。

優遇制度
 優遇制度とは、公的機関での雇用者数や大学の入学枠の5割を下層階級のために確保しておく制度です。それ以外にも、大学入学資格のボーダーラインを下げるなどの優遇措置(そち)もあります。そのため、下層階級出身は下層にいつづけることを望み、安心してしまいます。下層が固定化してしまう恐れもあります。また、資格もなく公務の仕事や医学の進学などに入る人がいて、インド社会における仕事や教育の質の問題にもつながります。実際のところ、下層の人たちは常に経済的に弱いとはいえません。下層階級の人でもとてもお金持ちやステータスの高い人々もいれば、上層で貧しい人もたくさんいます。
 下層の人なら、経済的に余裕があっても優遇を受けられますので、上層で貧しい人に対しても優遇を要求する人が増えて、社会的な不安がおきています。下層に対しての差別をなくすためにできた優遇性が、逆差別を起こしてしまいました。

現代社会におけるカーストの存在
 公的機関・公立学校:優遇を受けるためにしか人のカーストが明らかになりません。カーストでの差別は法律的に禁止されています。優遇カテゴリーとジェネラル・カテゴリーと大きく分かれています。
 私立機関・私立教育機関:優遇制度が認められていません。たとえば、今のIT企業などではカーストは関係ないし、面接のときなど、応募者のカーストを聞くのは禁止されています。それで、優遇制度で機会を失った多くの上層の人がIT業界に入っています。
 結婚:お見合い結婚のときはカーストが重要です。恋愛結婚だと、同じカーストなら、家族に反対されませんが、違う宗教や、同じ宗教でも上層の人と下層の人なら、家族にすごく反対されます。下層の人と結婚したいという娘を殺すなどというひどいことをする人もいると新聞によく出ています。
 社会:下層の人なら失礼になるから、直接人のカーストをききません。また、ハリジャンやダリッとやロウアー・カースト(下層)などの単語を使うのも失礼とされていますので皆様も注意してください。インド人は互いのカーストを聞かなくても、少し話せば、言葉遣いや話し方でだいたいわかります。インド人は言語、宗教、カーストなどいろんな枠に属しますので、資格が一致すればするほど仲良くなる傾向があります。

結論
 インドの社会は異質で、さまざまな宗教、さまざまな言語、さまざまな人種でできている複雑な社会です。人々が祝う祭りも違うし、文化について話しても「インドでは…」と言えないほど異なる文化が人々の間に存在しています。そんなに違っていても、一つの国として平和に存在しています。たしかに「多様性のなかの調和」といえるでしょう。

(5月29日の「日本語によるインド文化講座」での発表です。とてもおもしろいものなので、これから4回連載していきます。)


ココ

 12人ずつの2つのチームがあって、ゲームにはそのうち9人が参加する。まず追っ手のチームのうち8人が2つの柱の間にすわる。そのとき、1人おきに反対側を向いてすわる。9番目の者は追っ手である。つぎはランナーのチームから3人がフィールドに入る。それからゲームが始まる。
 まず、追っ手がランナーを追いかける。手でランナーに触ると、このランナーが負けで、フィールドを出る。追っ手が疲れたら、他のすわっている追っ手チームの者を「コ」と言いながら叩く。するとその追っ手が走り出し、その場所にコをあげた者がすわる。すして追っ手は交代にランナーを追いかける。追っ手は一度に1人しかいないことに注意する。
 ランナーは、どの方向にも走ることができるが、追っ手は自分が向かった方向にしか走れない。加えて、追っ手は自分のチームのすわっている人の間も通れない。向こうに行きたいなら、柱まで行って曲がらなければならないが、他の追っ手に番をまわすこともできる。ランナー3人とも負けたら、次の3人が入る。全員負けるまでこれを繰り返す。ひとつのイニングは7分だけで、次はランナーチームが追っ手になり追っ手チームがランナーになり、ゲームは7分続く。
 2つのチームのうち、負けた人数の少ないチームが勝つ。
           (ショバナ)

今月の川柳
 抽象画(ちゅうしょうが) さかさにみても 抽象画  リーラ
 新聞
 朝おきて わるいニュースを 読むカルマ(運命)  リーラ
 雨季がきた 交通事情 悪くなる  アラティ


今月のカンナダ語
Idhu nanna pen. Ii pen nannadhu.
(イドゥ・ナンナ・ペン:これ・私の・ペン。イイ・ペン・ナンナドゥ:この・ペン・私の)
Adhu yaara manay? Aa manay yaaradhu? 
(アドゥ・ヤーラ・マネ?:あれ・誰の・家? アー・マネ・ヤーラドゥ?:あの・家・誰の?)
Idhu hosa camera. Ii camera hosadhu. Ii camera hosadhu alla (hosadhalla). 
(イドゥ・ホサ・カメラ:これ・新しい・カメラ。イイ・カメラ・ホサドゥ:この・カメラ・新しいの。イイ・カメラ・ホサドゥ・アッラ(ホサダッラ):この・カメラ・新しいの・ない)
Idhu swarasyawaadha pustaka. Ii pustaka swarasyawaagi idhey (swarasyawaagidhey). 
(イドゥ・スワラシャーダ・プスタカ:これ・おもしろい・本。イイ・プスタカ・スワラシャワーギ・イデ(スワラシャワーギデ):この・本・おもしろいの)
Ivatthu malay baatharay anthey (baatharanthey). 
(イヴァットゥ・マレ・バータレ・アンテ(バーラタンテ):きょう・雨・来る・そうだ)
Ivatthu malay baatharay antha kaanathhey.
 (イヴァットゥ・マレ・バータレ・アンタ・カーナッテ:きょう・雨・来る・と・思う)
Namagay Tanaka awaru gotthu. 
(ナナゲ・タナカ・アワル・ゴットゥ:私に・田中・さん・知っている)
Mahishaasura emba (emmuwa) rakshanindha Mysuru emba hesaru banthu.
(マヒシャースラ・エンバ(エンムラ)・ラクシャニンダ・マイスール・エンバ・ヘサル・バントゥ:マヒシャースラ・という・巨人から・マイスール・という・名前・来た)


MA Japanese Course. Centre for Global Languages, Bangalore University.
P.K. Block, Palace Road, Bangalore - 560009, India