AGP日本語通信 第13号 (2012年12月号)
<インド文化講座・3-2>
マイソールのダサラ祭
スマ・アガラ
10月19日大学で、インド中でとても人気があるマイスールのダサラ祭りのお祝いについて発表させていただきました。マイスールでダサラお祝いは1610年に、ワデヤル王朝の王様であるラージャワデヤルによって始められりました。
今のカルナータカ州にあるマイスールは、15世紀まで南インドでいちばん大きな王国であったヴィジャヤナガラに属していました。ヴィジャヤナガラ王国が滅亡(めつぼう)した後、マイスールが中心になって、玉座(ぎょくざ)だけでなくお祭りなどの文化的な儀式(ぎしき)もマイスールに移りました。
ワデヤル王朝の25番目の王様のスリカンタダッタワデヤルは、1912年に建てられたアンババワーニ宮殿の一部分に住んでいます。インドは独立した後は、政治のことをしませんが、お祭りの儀式などに、前と同じように参加しています。ダサラが始まる10日間前に、王様は250キロの金・銀と木でできている玉座を組み立ててもらいます。
それから、ダサラの最初の日は午前11時ごろに王様はいろいろな儀式をして、この10日間形式的に30分ぐらい玉座に座ることになっています。
また、ダサラのとき、アンババワーニ宮殿でひなまつりのような人形飾りをはじめ、レスリング競技会、有名な音楽家の演奏などがあり、午後7時から9時まで96000個の電球によってライトアップされます。それだけではなく、10日間もあちらこちらで映画祭、フラワーショー、インドの伝統的なダンス、カンナダ語の劇、テニスの試合、農業セミナー、ヨーガ・ワークショップなどが行われます。
パレスで主な儀式は、ダサラの5日目は知識の神様であるサラスワティを拝み、8日目は力の神様であるドゥルガを拝み、9日目は武器を拝みます。10日目は一番大事な日で、「バン二」という木(学名:Prospis spicigera)を拝みに、象の背中に乗せた750キロの金の「ハウダ」に乗って王様は宮殿から5キロぐらいのところにあるバン二マンタパへ行っていました。最近は王様の代わりに力の神様である「ドゥルガ」の象を金の「ハウダ」に乗せて、装飾された象、楽師のグループ、踊り手のパレードが、パレスからバン二マンタパまで行きます。このパレードのことを「ジャンブサワリ」といいます。「ジャンブサワリ」は午後2時ごろ宮殿を出て、6時ごろバンニマンタプに着きます。最後の儀式として王様はバン二の木を拝みます。その後、憲兵(けんぺい)旅団のアクロバットとトーチライト・パレードで終わります。
いろいろな儀式で神様が喜んだら、しばらくの間の小雨が降るとヒンドゥー教徒は信じています。今までマイスールダサラでは、パレードが宮殿を出る時、いつも小雨が降っています。
ヒンドゥー教で、ダサラお祭りのお祝いには「善」対「悪」の物語がいくつか関わっていて、今もインド中でとても大事なお祭りとされていますが、マイスールのダサラ祭りは豪華(ごうか)な地域祭りとなっています。
世界でもっともしあわせな仕事
シャンタラ・J
子どもは神さまからのおくりものです。そして、わたしにとっても、最高のおくりものです。
子どもが生まれる前、わたしの人生は自分のしごとが中心でした。お金をかせぎ、それをつかってたのしむことだけでした。いま思うと、物質主義の毎日だったかもしれません。でも、そんな考えは、むすめを見たとたん、完全にかわってしまったのです。
すぐにかわったのではありません。最初は、心の中でいろいろまよいました。しごとをとるべきか、子どものせわをとるべきか。
しかし、わたしのかわりができる人がだれかいるでしょうか。
赤ちゃんのはじめてのねがえり、はじめてのすいつき、はじめてののび、わたしはそんな瞬間を見のがしたくありませんでした。それは、ひとりの母親にとって小さいながらもほんとうのしあわせな瞬間ではないだろうか。そう思って、わたしは主婦としての生活をおくる道をえらんだのでした。
そんなわたしに、多くの友人や親戚は、「あなたは家で何をするの。あなたのキャリアはどうするの。マスターの学位は」とたずねました。それでも わたしは、「子そだての道」をえらんだのでした。
たしかに その道はかんたんなものではありませんでした。今まで自分でかせいだお金はつかいはたしました。そして1ルピーすら夫にたのんでもらわないといけなくなりました。まるでそれがわたしの権利であるかのように、夫からお金をもらう。それは私自身にとってたいへんなことでした。
そのかわり、わたしには時間が生まれました。むすめがまいにち自分で生きかたを学んでいるすがたを見るための時間が生まれたのです。
そうして、わたしの人生にとってのほんとうのチャレンジが始まりました。「家事」というしごとです。それは容易なしごとではありませんでした。「家庭」というものもひとつの産業だったのです。家の中のいろいろなものは、スムーズに動くために、それぞれおかれるべき場所があるのです。料理、洗濯、子育て、そのどれもが、わたしにとってチャレンジでした。わたしはゆっくりですがそれらのやりかたを習得していくことができたのです。それは、わたしの中でひとつの美しい経験でした。
子こどもの成長とともに、わたしももう一度子ども時代をおくりました。それは、何年もやったことがなかったことでした。公園へ行って自分で作ったものがたりをかたり、歌をうたってそれにあわせておどって、フルタイムで母親の日々をおくりました。
子どもをそだてながら、子どものする質問にこたえていくには、忍耐が必要です。「自分への挑戦」といっていいでしょう。たとえば、「ママ、どうして犬にはしっぽが あるの? どうして人間にはないの?」「どうして朝の空は青いの? どうして夜は暗いの?」 わたしはいらいらしながら、そんなおかしな質問にこたえました。でも、それは子どもが成長する過程で生まれる好奇心によるものなのです。
子育てとはいったい何でしょう。それは世界でもっともすてきなしごとです。子どもの心に文化を教えこむしごとなのです。子どもの心の中に一度しっかりした基礎がきずかれてしまえば、子どもたちが生きる人生はスムーズなものになるにちがい ありません。
そうです。わたしは「家庭」という天国を作っているのです。自分のもつすべてをつかって、わたしの家庭を天国のように作りあげているのです。
わたしたちはむすめに Dishaという名前をつけました。それは direction、つまり「方向」という意味の名前です。きっとむすめは、わたしたちをしあわせの「方向」にみちびいてくれることでしょう。もちろん、その「方向」にはうきしずみがあるでしょう。でも、そんなうきしずみのある旅行のことを人生とよぶのです。
神さま、わたしたちに「Disha」という「方向」をあたえてくださって、ありがとうございました。ありがとう、わたしたちのむすめ Disha。
(これは今年のバンガロール弁論大会でスピーチされたものです。チェンナイやデリーの大会の出場資格がない人も、バンガロールではわけへだてなくスピーチできます。その「無資格スピーチ」のひとつです。こんなスピーチ、聞いてみたいと思いませんか? 門前払いして、葬(ほうむ)ってしまいたいですか? 少なくとも、私たちはそう考えません。)
・弁論大会結果
11月3日に行なわれたバンガロール弁論大会、11月24日にチェンナイであった南インド弁論大会の結果は以下の通りです。なお、バンガロール大会のアトラクション、日本語早口ことば競争で優勝したのは11歳の女の子(アナニヤちゃん)でした。
バンガロール地区日本語弁論大会
1位 ニティヤ・KSD「ソーシャルメディア」(BNK)
2位 ディパンジャナ・デイ「え、まさか男性?」(BNK)
3位 キラン・ムサレ「一瞬の結婚願望」(バンガロール大学)
4位 イェシャシュリー・P「先延ばし」(バンガロール大学)
5位 アンジャリ・ケスワニ「心の声」(バンガロール大学)
特別賞 シッダールト・ロイ・チョウドゥリ「笑顔の連鎖」(JLS)
南インド日本語弁論大会
ジュニアの部 1位 ニティヤ・KSD「ソーシャルメディア」(BNK)
2位 シッダールト・ロイ・チョウドゥリ「笑顔の連鎖」(JLS)
3位 イェシャシュリー・P「先延ばし」(バンガロール大学)
シニアの部 1位 マニート・ギリ「奇跡の場所」(BNK)
2位 ディパンジャナ・デイ「え、まさか男性?」(BNK)
3位 キラン・ムサレ「一瞬の結婚願望」(バンガロール大学)
ジュニアの部で優勝したニティヤさん
南インド大会入賞者6名は、1月12日(土)にデリーで行なわれる全インド大会の出場権を得ます。つまり、南インドからデリーに行ける6人の枠をバンガロール勢が独占しました。
・どう書きますか
インド人の名前を漢字で書いてあげたいのですが、どう書いたらいいでしょう。いい書き方があったらコメント欄で教えてください。その際、原則は、
1) いい意味の漢字で、男の名前には男らしい、女の名前には女らしい字を使いたい
2) なるべく音読み訓読みごちゃまぜにならないように、音なら音だけ、訓なら訓だけで書きたい
スマは「須磨」で決まりですが、ほかは…?
女性
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男性
| ||
Suma
|
スマ
|
Srinivas
|
スリニヴァス
|
Ananya
|
アナニヤ
|
Sanjay
|
サンジャイ
|
Geetha
|
ギータ
|
Sanjeev
|
サンジーヴ
|
Prema
|
プレーマ
|
Harish
|
ハリシュ
|
Sunitha
|
スニタ
|
Suresh
|
スレーシュ
|
Sujatha
|
スジャタ
|
Mahesh
|
マヘーシュ
|
Sharmila
|
シャルミラ
|
Ganesh
|
ガネーシュ
|
Sudha
|
スダ
|
Krishna
|
クリシュナ
|
Lakshmi
|
ラクシュミー
|
Shekhar
|
シェーカル
|
Seetha
|
シータ
|
Manjunath
|
マンジュナート
|
Sangeetha
|
サンギータ
|
Prakash
|
プラカシュ
|
Kavitha
|
カヴィタ
|
Adithya
|
アディティヤ
|
Revathi
|
レヴァティ
|
Sachin
|
サチン
|
Nithya
|
ニティヤ
|
Abhishek
|
アビシェク
|
Radha
|
ラダ
|
Pranav
|
プラナヴ
|
Ramya
|
ラミヤ
|
Shashank
|
シャシャンク
|
Radhika
|
ラディカ
|
Girish
|
ギリシュ
|
Rashmi
|
ラシュミー
|
Shrikanth
|
シュリーカント
|
Pallavi
|
パッラヴィ
|
Sharath
|
シャラット
|
Renuka
|
レヌカ
|
Rohan
|
ローハン
|
Padma
|
パドマ
|
Murthy
|
ムルティ
|
Lalitha
|
ラリタ
|
Anand
|
アーナンド
|
Seema
|
シーマ
|
Vinay
|
ヴィナイ
|
Meera
|
ミーラ
|
Murali
|
ムラリ
|
Deepa
|
ディーパ
|
Manish
|
マニーシュ
|
Shobha
|
ショバ
|
Prashanth
|
プラシャント
|
Savitha
|
サヴィタ
|
Praveen
|
プラヴィーン
|
Arathi
|
アラティ
|
Prasanna
|
プラサッナ
|
Sheela
|
シーラ
|
Sridhar
|
スリーダル
|
Sandhya
|
サンディヤ
|
Ajay
|
アジャイ
|
Sahana
|
サハナ
|
Narayan
|
ナラヤン
|
Vidhya
|
ヴィディヤ
|
Madhav
|
マーダヴ
|
Preethi
|
プリーティ
|
Deepak
|
ディーパク
|
Priya
|
プリヤ
|
Sathya
|
サティヤ
|
Latha
|
ラタ
|
Harsha
|
ハルシャ
|
MA Japanese Course. Centre for Global Languages, Bangalore University.
P.K. Block, Palace Road, Bangalore - 560009, India
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