2012年3月1日木曜日

AGP 3月号


AGP日本語通信 3号 (2012年3月号)


インドと日本のあいだのちがい
シャラダ・ライチュル

 みなさん、こんにちは! わたしはシャラダです。わたしのえらんだトピックは「インドと日本のあいだのちがい」についてです。
 みなさんがごぞんじのとおり、気候や文化だけでなく、生活や環境においてもさまざまにちがう点がありますね。その中で、わたしは日本人とインド人の寿命のちがい、つまりどれだけ長く生きているかのちがいについてお話ししたいと思います。
 2010年の調査結果によると、日本人の平均寿命は約82歳、世界第1位です。いっぽうで、インド人の平均寿命は 63.7歳で、世界第146位です。
 この結果から、わたしたちと日本人のあいだに大きなちがいがあることがわかります。どうしてこんなに大きなギャップがあるのか、わたしたちと何がちがうのかについて考えたら、ふたつのポイントが大きな理由だとわたしは思いました。
 ひとつめは、食生活についてです。日本の食べものはプロテインやビタミンを多くふくみます。インドの食べものもこのふたつを多くふくんでいますから、問題は材料ではありません。日本とちがって、わたしたちの料理はたくさんの油やギー、砂糖など、脂肪の多いものをつかいますね。だから、料理するときそれらの脂肪の多いものをたくさんつかわないようにすることが大切だと思います。そして、食べる量のコントロールも必要だと思います。おなかいっぱい食べるのではなく、「腹八分目」だけ食べるという日本人の考えかたをまねしてみたらどうでしょうか。
 ふたつめは、運動習慣についてです。ここバンガロールではさいきんたくさんジムができて、毎日エクササイズにかよっている人もいるようですが、多くの人はなかなか運動する時間がないようです。でも、日本人も同じですよね。よくはたらく人たちですから、条件はわたしたちと同じだと思います。どうやって日本人は運動習慣をつくっているの?と考えたとき、わたしが日本にいたとき あった人、見たことについて思い出しました。
 わたしが友だちになったひとりのおばあさんは60歳で、たいへん元気な人でした。かのじょは主婦でした。毎日家事がぜんぶおわったあとの時間、水泳とかエアロビクスとかいろいろな運動をして、ほんとうに健康的な毎日をすごしていました。60歳でそんな生活、みなさんは想像できますか? この年齢の多くのインド人は、いつも家の中でテレビを見たり、ごはんのあと昼寝をしたり、時間があってもほとんど体を動かすことをしません。その結果、病気にもなりやすくなります。健康でありたいなら、毎日すこしでも体を動かす習慣をつくるといいと思います。
 そしてもうひとつ、日本でわたしが気づいた点をお話ししたいと思います。多くの日本人は、ちかくのスーパーや会社、駅に行くときに自転車にのっていました。車をつかう人も多いけど、わたしの経験では自転車をつかう人が多かったと思います。これなら運動のために特別な時間をつくらなくてもいいし、ある時間を健康的につかうかしこい方法だと思いました。さらに、これにより大気汚染も少なくなるし、ガソリンのお金も節約できますね。これにくらべて、インド人の多くの人は、学校を出たあとぜんぜん自転車にのらなくなって、オートバイとかオートにのるから、体をまったく動かさなくなって、わざわざ運動をする時間をつくらなければならない状況になっています。時間をじょうずに利用して運動する方法を考えることがポイントだと思います。
 わたしの経験の最後のポイントとしては、わたしは日本でレストランのメニューにカロリーが表示されているのを見ました。これは、お客さまが食べものをえらぶとき、健康を意識してどれがいいかを自分で考えて注文することができるシステムです。わたしたち多くのインド人は今まであまり料理のカロリーを考えたことがないと思うし、知らないと思います。これには食品会社のサポート、政府のサポートが必要だと思います。
 日本のモールやスーパーで売っている食べものには、カロリーが表示されていることが多いです。そして、低脂肪や無脂肪の製品でも味がわるくならないように、脂肪分だけのぞいているすばらしい商品が開発されています。これならみんなもそれを買って自分で健康をまもろうという気になりますよね。さいきんインドでも少しずつそのような食べものを売りはじめましたけど、まだまだ一般市民にひろく知られてなくて、買われていないと思います。
 最後に話をまとめると-
 ひとつめとして、自助努力。わたしたちはあいている時間をむだにしないで、健康のためにつかう方法を考えること、毎日の生活の中で、ちかくに行くときは車やオートバイで移動するのではなく、自転車とか歩いていく機会をつくることだと思います。
 そしてふたつめには、国や政府からのサポートが必要だと思うんです。みんなの健康意識を高めるために、カロリーが少なくて味はまえと同じ商品を開発するよう食品会社をサポートしたり、健康キャンペーンをおこなって、みんなにカロリーや健康の情報を知らせる機会をつくってほしいです。それによって、インド人みんなが自分の健康にもっと気をつけるようになると思います。
 自助努力と国からのサポートにより、わたしたちインド人も日本人のようにもっと健康的になり、長い寿命がもてたなら、今よりもっともっと長く家族といっしょにしあわせな時間をすごすことができるんです。きょうのわたしの発表がすこしでもみなさんのお役に立てたなら、わたしはたいへんしあわせです。みなさん、いっしょに長生きしましょう!

(先のバンガロール弁論大会でのスピーチです。おもしろかったので、会場に来なかった人にも読んでもらいたいと思い、再録しました。)


日本についてのイメージ
アラティ・ゴパラクリシュナ

 私は日本に行く前に日本語を勉強していて、ビデオもいくつか見ていたので。日本のことを知っていると思っていましたが、日本に行ってから、全然理解していないことがいっぱいあることに気がつきました。
 日本に行ったのは三月の終わりごろで、あまり寒くないと聞いていたのでセーターを持っていきませんでしたが、飛行機を出ると気温が13度で、バンガロールのいちばん寒いときと同じだったので、びっくりして、日本人と気温についての考え方が違うということがわかりました。
 次の日、会社の部長とその奥さんといっしょに奈良公園の見物に行ったとき、道や公園の中がとてもきれいだったので、どうやってそんなにきれいにしているのだろうと考えていたところ、部長がたばこをすいたくなって、奥さんに「灰皿を持っているか」と聞いたので、灰も道に捨てないほど人々がせいけつのことを考えているからできるのだと納得しました。


どうしてインド人は時間を守らないのか
ショバナ・クリシュナムルティ

 「時間に正確という徳はつまらない」と述べたイヴリン・ウォー(Evelyn Waugh)の意見に、時間に遅れるインド人は間違いなく賛成する。学生時代学校の時間や試験時間を守っていたインド人は、なぜか大人になるとそれを守らなくなる。占いを信じて、結婚、出生、入院までいい時間を選ぶ人々も、ふだんは時間に正確じゃない。その理由はなにか考えてみた。
 自分は偉くて、忙しい生活をしていることを他の人々に知らせるのが目的ではないかと思われる。日本、米国、英国など工業が発展した国々では、一秒の無駄でも利益にならないので時間をしっかり守っているが、発展途上のインドはそれほど工業の影響はない。
 生まれた時からずっと人に待たされて慣れてしまったので、べつに悪くは思わない性格になってしまったインド人は、それに恥ずかしさを感じないというのが実情だろう。何をするにも他の人やものに頼る必要があって、政治をはじめ交通、交番など、どこでも時間が守られていない。それで、残念ながらインド人は時間に遅れることを何とも感じていないのだと思う。


池上 嘉彦(いけがみ よしひこ)(東京大学名誉教授)講演
『する』と『なる』の言語学(日本語)
  38日(1012
「認知言語学」(英語)
  312日(月)1416
「認知言語学」(日本語)
  313日(月)1012
場所:バンガロール大学(シティキャンパス)世界言語センター2階 日本語教室
言語学に興味のある方はぜひどうぞ。聴講者歓迎です。



全インド日本語弁論大会
 225日(土)にデリーので行なわれた全インド日本語弁論大会に、バンガロール地区からジュニアの部1名、シニアの部3名が参加しました。結果は次のとおりです。
ジュニアの部 位 レヴァティ「井戸の中からちょっと出てきて」
シニアの部  位 ハルシャダ「ありがとう」
       特別賞 スミトラ 「夢の子供」
 また、同じ日に表彰が行なわれたエッセイコンテストで、レヴァティさん(「思い出の旅」)がジュニアの部2位になりました。


                         こんなにもらっちゃった
(レヴァティさん)
古本リサイクル
 ジャパンハッバの古本市は盛況のうちに終わりました。
 BNKでは、ひきつづきみなさまのご不要になった日本語の本を集め、必要とされる日本人や日本語学習者の方々に(非常に安い値段で)お渡しする中継をしたいと考えています。
 ご帰国などで本を処分される方は、大学の日本語教室までもってきていただけませんか。そして本をさがしている方は、大学をのぞいてみてください。


今月のカンナダ語
Gotthaa? (<gotthidheyaa) (ゴッタ?:しっているか?)
Gotthu. (<gotthidhey) (ゴットゥ:しっている)
Gotthilla. (ゴッティラ:しらない)
Roomalli mancha idhey. (ルーマッリ・マンチャ・イデ:部屋に・ベッド・ある)
Manchadha maylay bekku idhey. (マンチャダ・メレ・ベック・イデ:ベッドの・上に・ねこ・ある)
Manchadha kelagay eenadhu idhey yaa?
 (マンチャダ・ケラゲ・エーナドゥ・イデ・ヤー?:ベッドの・下に・なにか・ある・か?)
Illa. Eenu illa. (イッラ.エーヌ・イッラ:いいえ。なに・ない)
Nanna hatthila computer idhey.
 (ナンナ・ハッティラ・コンピューター・イデ:私の・もとに[近くに]・コンピューター・ある[=わたしはコンピューターをもっている]
Avara manay hatthira bank idhey.
 (アワラ・マネ・ハッティラ・バンク・イデ:あの人の・家・近くに・銀行・ある)
Nanagay camera bayku. / baydwaa. 
(ナナゲ・カメラ・ベク/ベドワー:わたしに・カメラ・ほしい/ほしくない)
Nimagay camera baykaa? (ニマゲ・カメラ・ベカ?:あなたに・カメラ・ほしいか?)
Avarigay cake ishta. (アワリゲ・ケイク・イシュタ:あの人に・ケーキ・好き)
(Naanu) dhinaa dosay thinnthini. 
(ナーヌ・ディナー・ドーセ・ティンティニ:わたしは・毎日・ドーサ・食べる)
(Naanu) Mumbaigay hoogthini.
(ナーヌ・ムンバイゲ・ホーグティニ:わたしは・ムンバイへ・行く)



訃報 吉岡信子先生

 日本人補習校の教師で、バンガロール大学の日本語MAコースでも非常勤講師として教えていただいていた吉岡信子先生が、219日に急死されました。突然のことで、みな大きな驚きと悲しみにつつまれました。
 追悼の声を載せます。合掌。



書道クラスで


 先生極楽浄土から私の声が聞こえるでしょうか
「今年もジャパンハッバをやりましょう」とまず言ったのは先生でしょう。2012年2月19日という日付を決めたのも先生でしょう。でもその日付けはジャパンハッバだけでなく先生に「さようなら」という日になりました…
 ジャパンハッバのためにんなに努力してくださった先生は、その努力の結実を見ることもできなくてとても残念です。
 書道の授業で吉岡先生に習ったことはたくさんありますね。日本書道の特徴や躾の大切さなどを教えていただいただけでなく、我々に適当な書道の道具まで日本から買ってきていただきました。学生一人ひとりに自分で彫ってくださったはんこを大切に持っています。
 MAコースでは漢字から仮名ができたこと、日本文字の正しい書き方、書体、寺小屋、仏教、禅、極楽浄土のことなどについて熱心に教えていただきました。
 私たちの大好きなやまとなでしこの吉岡先生、さようならさようなら
 (スシーラ・メノン)
 吉岡先生と知り合った期間はたった5ヵ月のことで、先生-生徒の関係でしたが、とても仲良くなって、何でも気楽に聞いて教えていただくことができたのでとても感謝しています。その関係が長く続けられると思っていましたが急にできなくなったのが、とても悲しくてたまらないことです。先生に文字のことだけではなく日本の子供の姿勢や躾についてもいろいろ教えていただきました。「日本の書道をもっと広げたい」という先生の夢が叶ようにみんなで努力したいと思います。吉岡先生のご冥福をお祈りいたします
             (アラティ・ゴパラクリシュナ)
 吉岡先生、謹んでご逝去を悼み、生前の温かいご指導に対し、あらためてお礼申し上げます。
 先生は書道の授業でとても丁寧で私の手を取って教えて下さいましたことを一生忘れません。また、MAの授業でもいろいろとても楽しく教えて下さいました。
 先生のこれまでのお導きに心より感謝し、安らかに永遠の眠りにつかれる事をお祈りいたします。
(スマ・アガラ)
 吉岡先生をたった5ヶ月しか知らなかったんですがそんな短い時期に私に大きな影響を与えました。文字の書き方、書道だけではなく姿勢,躾までいろいろ教えていただき本当にありがたいと思います。もう先生会えない、なにも教えてもらえないということ悲しくてたまらない。
May her soul rest in peace.                   (ショバナ・クリシュナムルティ)