AGP日本語通信: ＡＧＰ　第16号

ＡＧＰ日本語通信　第16号　（2013年3月号）

＜ジャパンハッバ2013作文コンクール応募作文から＞

　作文コンクールのテーマは「漢字、漢字、漢字！」漢字についてさまざまな意見、さまざまな経験が聞けました。初級コースからは、漢字についてのポジティブな意見を、ほとんどひらがなばかりで。それも漢字の裾野でしょう。

漢字

プリヤ・アマルナト

　「難しい」、「大変」、「覚えにくい」。漢字を勉強する人がいつも言う言葉です。この小さい単語はどうしてそのように恐怖をよぶのでしょうか。ちょっと見てみましょう。

　8年前、主婦をしていた私が日本語の勉強を始め、学生時代に戻りました。子供のころから日本について興味を持っていたので、日本語のクラスを楽しみに待っていました。クラスが始まりました。先生はとても優しい人で、「日本語は難しい、でも面白いよ。何年勉強しても、あなたが日本語がぜんぶ分かるというわけにはいかないでしょう」。六つの言葉を知っている私は、それを聞いて笑いました。それから、授業が始まりました。とても熱心に勉強を始めました。3週間でひらがなとかたかなをぜんぶならいました。簡単な言葉と文章が読めたり書けたりできるようになりました。先生はどうして私たちを恐がらせたのでしょうか？「先生、日本語は易しい、問題ありません」。先生もニコニコ笑って、「そうですね、頭がいい人ね」と褒められました。ちょっと横柄な顔をして、家族や友達に「私は日本語ができますよ。何でも聞いてください、答えますよ」。

　１カ月がこのように経過しました。ある日、先生は新しい教科書を私たちに配りました。開けると、ひらがなとかたかなと一緒に、デザインがたくさんありました。「ああ、そのデザインは漢字ですね。面白い」。漢字の書き方、読み方を習い始めました。最初は、「日、人、木、月」のようなとても簡単な漢字を書きました。だんだん、複雑な漢字が出てきました。毎日の練習も足りませんでした。何回書いても、次の授業で忘れてしまいます。筆順、音読み、訓読み、どれを覚えたらいいですか。日本語の勉強を始めて１年ぐらいになっても、漢字がにがてでした。家族や友達が「勉強はどうですか」と聞くと、「あまり難しくない」と答えて、すぐ逃げてしまいました。ある日、従弟のナレンは、日本に若者の中で一番人気があるとされているビデオゲームを買って来ました。マ二ュアルはぜんぶ日本語で、読めなくて、私に、「日本語が上手なんだね、ちょっと教えてくれない？」皆の前断ることができなくて、読んでみました。漢字だらけのマ二ュアルを少ししか読めませんでした。非常に恥ずかしくて、従弟に「読めない、日本語は難しい、漢字がわからない」と小声で言いました。

　数ねんご、驚いたことに、私は日本語を教え始めていました。先生が言った注意を私の学生たちに繰り返しました。漢字の教えるのに、絵を描いて、学生にそれがよりおもしろくなるようにしました。例えば、「魚」の漢字は「さかなを捕るのにネットを使っている男」、「雨」は「くもからでるかみなりとあまつぶ」と説明すると、学生は皆喜んで、すぐ覚えるようになるかもしれません。蛇の大好き私は、「蛇」の漢字を見ると、インドのナーガー蛇と同じだと感じます。

　漢字が嫌いになる多くの理由がありますが、それも好きであるいくつかの理由があります。日本語の文章にスペースがありません。全体がひらがなの文なら、読んで理解するのが難しい。また、それぞれの漢字に1つ以上の意味があって、漢字を見て、すぐ理解できます。そして、ひらがなの2か3つのキャラクターを1つの漢字に短くすることができます。それは効率的で、そして時間の節約になるのではないかと思います。最後に、美しい漢字を書くのは瞑想で、心が穏やかになると思います。

漢字

アンジャリ・ケスワニ

　新年会のときのことでした。恋人とはじめて行きましたから、心が弾んでいました。高価なドレスも買って、びよういんでいろいろなトリートメントもして、それに3か月前からダイエットもしていました。やっと、12月31日8時にかれは私のうちにきました。私を見て、彼は英語で言いました。「ああ…大きな羊ににているよ！」なに？私のこと？大きな羊？私はそのことばをきいて、泣き始めました。私の顔を見て、彼はすぐにあやまって、言いました。「いや、いや。きれいだよ！ほんとうに！からかったんだよ！漢字の勉強をはじめた時、あなたは『美しい』の語源を英語で説明して、『大きい』と『羊』をあわせると『美しい』になると言ったね。それがおもしろかったんだよ！」

　そうだった！勉強をはじた時、姉やともだちみんなに、「漢字は絵だよ。いみもある。たてば『休』は人が木の下でやすむといういみだよ」と言って、さまざまな漢字について説明しました。また、漢字の勉強をしながら、ときどき芸術家や人類学者になっていました。タイムトラベルをして、昔のぶんかやせいかつをそうぞうしました。あの指のなまえはどうして薬指ですか。たぶんむかし薬をつくる時、草の根や木の皮をこの指でまぜていました。だからこの指のなまえは「薬指」になったのでしょう。そのようにそうぞうして、漢字のいみをりかいしていました。

　でも、いま、2年勉強したあと、いけんがかわりました。「機械」のいみはどうして「マシン」になったのか、ぜんぜんわかりません。かんたんな絵はふくざつになりました。漢字はちいさな絵だけど、千のルールをまもらなければなりません！上から下、左から右、そのようにかきなさい。絵の画数もきまっています！まあ…規則がいっぱい！漢字のクラスですか、ぐんたいのクラスですか？

漢字はどうしてだいじですか。かなではたりませんか。日本語のせんせいは「漢字はべんりです」といいました。「おなじはつおんのことばがくべつできます。たとえば、『はな』は『花』と『鼻』があります。かんじを見るといみがわかります」。へえ?? はなす時コンテクストからわかりませんか。たとえば、「たなかさんのにわにきれいなはながあります」。コンフュージョンがある??

　まあね、ときどきかんじなしにぶんのいみはわかりにくいです。「かれはこうかんだ」。かれはビューロクラットですか、いいひとですか。かなだけだとコンテクストからどんないみかわかりません。どちらがただしいですか。

　和ごのばあいはかながつかえますけど、かんごのばあいはコンフュージョンの可能性があります。このもんだいのかいけつほうがありますか？

　はい！あります！

　いま、ちゅうごくとにほんのかんけいはこんなんがあります。さいきん、ちゅうごくのじゅんしせんはにほんのうみにはいって、いかりをかいました。だから、いまにほんはプロテストするためにかんごをボイコットしたらいいんじゃないか。

　かなには大きい利点があります。かんじをマスターするにはたくさんてまひまがかかります。そして、かくことはかなほどはやくできません。たとえば、「母と洗濯機と掃除機を買いに行きます」。このぶんのかくすうは121かくです。それをかなでかくと、かくすうは52だけです！てまひまをはぶけます。

　日本語きょうじゅほうにたいしてわたしのていあん：にほんごのうりょくしけんのやりかたをかえてください！ああ…かんじのないにほんごのうりょくしけん…ユートピア！

漢字

ナチャンマイ・アラガッパン

　「えでかいたことば」と「げいじゅつてきなかきかた」。

　おもったことやかんがえたことをせいしんてきにあらわすために、げんごがひつようです。同じように、かんじもにほんごのせいしんです。

　これがかんじについてのわたしのきもちです。ちいさいあまつぶはかわになります。そのように、ちいさいせんはえでかいたことばになります。

　かんじということばは、ちゅうごくのハンジということばからきました。むかしのちゅうごくじんは、ほねからもかめのこうらからもとりのあしあとからもヒントをえて、かんじをつくりました。かんじをつくるとき、なにかかくれたいみもいれて、すうがくてきなロジックもいれてつくりました。かんじをよくれんしゅうすると、その人のメモリーがふえるとききました。そのうえ、むずかしいぶんかもかんじからよくわかるようになるのではないでしょうか。わたしたちがこどものほんやストーリーをはじめてよむとき、ことばのあいだにスペースがないので、すこしよみにくいですが、ぶんのなかにかんじがくると、かんたんによめます。かんじはひらがなをかくよりスペースをとりません。ひらがなでかくと、ひとつのことばにいろいろないみがありますね。かんじでかくと、コンテキストもよくわかりますし、ことばのいみもよくわかります。よむときも、かなよりかんじのほうがはやくよめるとおもいます。これがわたしのいけんです。

　にほんのこどもたちはしょうがっこうからかんたんなほうほうでかんじをならいます。でも、がいこくじんがべんきょうすると、とてもむずかしいとかんじます。わたしのいけんでは、ただしいかきじゅんでかんじをかいて、なにかストーリーもいれてべんきょうすると、かんたんにできます。

　わたしはにほんごをべんきょうしはじめたとき、かんじがあるからほかのげんごとちがうとかんじました。わたしはかんじにむかってこどものようにあるきはじめました。わたしのゆめは、いつかかんじのパズルをりかいすることです。

　わたしのだいすきなかんじは「灰」と「始」です。「灰」のかんじは、にんげんのいのちは、さいごに火にはいって灰になるということをあらわしていませんか。「始」のかんじは、なにかいいことをはじめるとき、ひとりのじょせいがひつようだということをきょうちょうしますね。

　かんじについてはなすと、そのはなしはいつまでもおわらない。にほんごのかんじは、やまのあいだをながれるうつくしいかわのようですね。そして、せかいのいろいろなげんごのなかでほしのようにかがやいていませんか。

わたしの2012年を漢字1字であらわすと、それは

罪

　38歳の私が、自分のため大学院で勉強していますが、娘とあまり時間を過ごしていないので、罪悪感を感じています。su

単

　主人が単身赴任していて、私と子供は寂しいので、今年の漢字は単。ar

支

　2012年には家族の2人（母と姉）が大病にかかって、その2人を支えることが私の役割でした。また、息子も思春期をむかえていて、いろいろサポートしなければならなかった。それで、2012年の私の大きな、大切なしごとは人を支えることだったので、私の今年の漢字は「支」です。su

忙

　2012年は勉強と家族と新しい家を建てることなどであまりひまはなかったので、この年をひとつの字で表わすなら「忙しい」。sh

疲

　私は2012年にたくさん責任をおいました。たとえば息子は小学校に入りました。いい成績をとってほしいですから、私もいっしょうけんめい手伝いました。そして両親の調子が悪かったですから、私は一人で世話をしました。私も日本語の授業がありますから、ちょっと。pr

母

　２ねんまえ、母がなくなりました。でも、いまもはははわたしといっしょにいて、じしんをもたせてくれているとかんじます。pr

叶

　2003年に日本にべんきょうに行ったときにおせわになったごかぞくにもういちど会うのがゆめでした。2012年4月に会社から2週間のけんしゅうに日本に行かせてもらい、土日の休みのときそのごかぞくに会うこともできました。そしてさくらを見るゆめも叶いました。2012年はしごとのことでもよかったです。mr

会

　いろんな人と出会うことができました。自分の人生でたいせつにしたい人たちとも出会うことができました。ra

静

　去年の私の状態を表す言葉は、「静か」です。
　いつもの自分はみんなと一緒にいたり、話したりしていて、一人でいるとさびしいと思っていました。今年は新しい仕事を始めたが、その会社で働いている人については初めはよく分からなかったから、あまり話せませんでした。話してないときは自分が大好きなことをしたり、読んだり、自分の中の静けさを感じました。自分がもっと好きなものをやってみて、誰もいないときも、心の静けさがわかったから新しくかんじました。re

験

　2012年はさまざまな初体験の1年でした。初めて日本企業で働く経験、兄の健康がとても悪くなって、家族とともにつらい時をすごした経験、最初のウェブサイトを開発する経験、私が初めて病気になって、長い間薬を飲む経験... 善いことも悪いことも、2012年は、生命と私の能力についてより多くを学ばせてくれた1年でした。da

楽

　わたしの2012年を表わす漢字は「楽」。

　日本語に関係のあるイベントがたくさんあって、そのうちの多くに参加したり見たりしたので、わたしの2012年はおもしろくて楽しかったです。ye

幸

　今年（2012）より来年（2013）、私だけではなくみんながももっと幸せになるように願って、この字を選びました。se